精神科訪問看護

精神科訪問看護とは

精神科に特化した専門ケアを、ご自宅で

精神的な不調により日常生活に支障をきたしている方のご自宅を、専門の看護師が定期的に訪問するサービスです。服薬管理、症状観察、生活リズムの調整など、医療と生活の両面から支援を行います。
ご利用者さまだけでなく、ご家族の相談にも応じ、家庭環境全体の安定を図ります。精神科医師の指示のもと、病状の悪化を防ぎ、地域での安定した生活を継続できるよう、きめ細やかなケアを提供いたします。

精神疾患の種類

うつ病


気分の落ち込みや意欲の低下が続き、日常生活に支障をきたす状態です。「何をしても楽しくない」「疲れが取れない」「眠れない」「食欲がない」といった症状が続いている場合は、うつ病の可能性があります。
また物事を否定的に捉えがちになり、自己評価が極端に低下するのも特徴的な症状です。脳の神経伝達物質のバランスが崩れることで起こる病気であり、性格や努力不足が原因ではありません。

  • 気分が落ち込む
  • 楽しめない
  • 悪いほうにばかり考えてしまう
  • 表情が暗い
  • 自分を責めてばかりいる
  • 涙もろくなった
  • 反応が遅い
  • 落ち着かない
  • 飲酒量が増える
  • 食欲がない
  • 性欲がない
  • 眠れない、過度に寝てしまう
  • 体がだるい、疲れやすい
  • 頭痛や肩こり
  • 動悸
  • 胃の不快感、便秘や下痢
  • めまい
  • 口が渇く


十分な休養と適切な薬物療法が治療の基本となります。抗うつ薬により脳内の神経伝達物質のバランスを整え、症状の改善を図ります。
認知行動療法などの精神療法を併用すると、より効果的です。否定的な思考パターンを見直し、問題への対処法を身につけていきます。

パニック障害


突然の激しい不安発作を繰り返す病気です。動悸、発汗、呼吸困難などの身体症状とともに、「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖を感じます。
このような発作はしばらくすると収まるものの、また起こるのではないかという予期不安により、外出や人混みを避けるようになります。うつ病を併発することも少なくありません。

  • 動悸、息切れ
  • 大量の発汗
  • 手足のふるえ
  • 息切れ・息苦しい・喉の異物感
  • 胸の痛み・不快感
  • 吐き気・腹部の不快感
  • めまい・ふらつき
  • 寒気・熱感
  • 自分が自分でないような離人感
  • コントロールを失う恐怖
  • 現実感の喪失
  • 死への強い恐怖感


治療は段階的に進めていきます。
まず薬物療法により発作の頻度と強度を軽減します。抗不安薬や抗うつ薬を用いて、脳内の不安を司る部分の過剰な活動を抑えるのです。
症状が落ち着いてきたら、認知行動療法を開始します。発作が起きやすい状況に少しずつ慣れていき、不安への対処法も学ぶことで、薬に頼らない生活を目指します。

不眠症


睡眠に関する悩みが続き、日中の活動に支障をきたす状態を不眠症といいます。単に眠れないだけでなく、集中力の低下、倦怠感、頭痛などの身体症状も現れ、生活の質が著しく低下するのが特徴です。

  • 夜が近づくと「今日も眠れないかも」という不安で緊張が高まる
  • 一度は眠れても夜中に目が覚め、朝まで断続的な睡眠しか取れない
  • 寝床に入ってから30分以上経っても眠れず、時計を何度も確認してしまう
  • 予定より2時間以上早く目覚めてしまい、二度寝ができない
  • 長時間寝ているはずなのに、疲れが取れず熟睡感がない
  • 気分が落ち込んだり、イライラする
  • 注意力・集中力が低下し日常生活に支障がある
  • 日中に強い眠気に襲われる
  • 頭痛・肩こり・胃腸の痛みなど体の不調がある
  • 疲れやすく、やる気が出ない


生活習慣の見直しから始めることが重要です。
改善が見られない場合は、睡眠薬による薬物療法を検討します。現在の睡眠薬は依存性が低く、安全性も高まっているのが特徴です。医師と相談しながら、最小限の使用で最大の効果を目指します。

自律神経失調症


自律神経は心臓、胃腸、血管など、意識的にコントロールできない器官を調整しています。そのため、ストレスにより交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、全身にさまざまな不調が生じてしまうのです。
検査をしても異常が見つからないことが多く、「気のせい」と片付けられがちですが、れっきとした疾患なのです。

  • 動いていないのに動悸が激しくなる
  • 下痢や便秘
  • 突然体がほてり、汗が止まらない
  • 立ちくらみ、ふらつき
  • 頭痛、頭が重い
  • 肩こり
  • 手足の冷え
  • 手足のしびれ、痛み
  • 疲れやすい、倦怠感
  • 眠れない


脳へのストレスを軽減し、自律神経のバランスを整え、各臓器の機能を回復させるという3段階のアプローチが基本となります。
まず、ストレスの原因を特定し、可能な限り軽減します。規則正しい生活リズムの確立、十分な睡眠、バランスの取れた食事が土台です。ヨガや瞑想、深呼吸法などのリラクゼーション技法も効果的です。
適切な治療を3ヶ月程度継続すると、多くの方に改善が見られます。過労が原因の場合は、医師の指示により休職が必要になることもあります。焦らず、ゆっくりと回復を待つ姿勢が大切です。

適応障害


特定の環境や出来事に対してうまく適応できず、心身に不調をきたす状態です。転職、異動、結婚、離婚など、人生の転機となる出来事がきっかけとなります。
憂うつ感、不安、イライラが強まり、涙もろくなったり、些細なことを過度に心配したりします。ストレスの原因から離れると症状が軽快するのが特徴的です。

  • 抑うつ気分
  • 不安
  • 怒り、焦り
  • 緊張
  • 行きすぎた飲酒や暴食
  • 無断欠席
  • 無謀な運転やけんかなどの攻撃的な行動がみられる
  • 不安が強く緊張が高まると、体の症状としてどきどきしたり、汗をかいたり、めまいが起こる


原因となるストレスからの距離を置き、心身を休めることが治療の第一歩です。職場環境が原因であれば、配置転換や休職を検討します。
ストレスから完全に離れることが困難な場合は、認知行動療法でストレスへの対処法を身につけます。問題解決療法により、具体的な解決策を見出すことも有効です。
不眠や強い不安により日常生活に支障がある場合は、一時的に薬物療法を併用します。ただし、薬は症状を和らげる対症療法であり、根本的な解決には環境調整と心理療法が不可欠です。

統合失調症


脳の情報処理機能に障害が生じ、思考・感情・行動の統合が困難になる疾患です。幻聴や妄想などの陽性症状、感情の平板化や意欲低下などの陰性症状、認知機能の低下が主な症状として現れます。
「誰かに監視されている」といった被害妄想や、実際には存在しない声が聞こえる幻聴が典型的です。

    陽性症状

  • 妄想
  • 幻覚
  • 思考障害

    陰性症状

  • 感情の平板化(感情鈍麻)
  • 思考の貧困
  • 意欲の欠如
  • 自閉(社会的引きこもり)

    認知機能障害

  • 記憶力の低下
  • 注意・集中力の低下
  • 判断力の低下


薬物療法と精神科リハビリテーションを組み合わせた包括的な治療が基本です。
急性期は抗精神病薬により幻覚・妄想を軽減し、興奮や混乱を鎮めます。症状が落ち着いてきたら、できるだけ早期にリハビリテーションを開始するのが基本です。

双極性障害


気分が異常に高揚する「躁状態」と、深く落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。以前は躁うつ病と呼ばれていました。
躁状態では睡眠時間が短くても元気で、アイデアが次々と浮かび、自信に満ちあふれます。しかし、注意力が散漫になり、浪費や無謀な行動をとることもあるのです。本人は調子が良いと感じるため、病識を持ちにくいという特徴があります。

躁状態

  • 睡眠時間が2時間以上少なくても平気になる
  • 寝なくても元気で活動を続けられる
  • 人の意見に耳を貸さない
  • 話し続ける
  • 次々にアイデアが出てくるがそれらを組み立てて最後までやり遂げることができない
  • 根拠のない自信に満ちあふれる
  • 買い物やギャンブルに莫大な金額をつぎ込む
  • 初対面の人にやたらと声をかける
  • 性的に奔放になる

うつ躁状態


気分安定薬を中心とした薬物療法が治療の基本です。躁とうつの波を小さくし、再発を予防します。
また薬物療法と並行して、心理教育も重要な役割を果たします。病気の特徴を理解し、早期の兆候に気づけるようになることで、症状が重くなるのを防ぎます。

心身症


ストレスが身体の症状として現れる疾患群を心身症といいます。胃潰瘍、過敏性腸症候群、緊張性頭痛など、さまざまな身体疾患がストレスにより発症・悪化します。
真面目で責任感が強く、感情を抑えがちな方に起こりやすい傾向があります。身体の治療だけでは改善せず、心と身体の関係性に着目した治療が必要です。


心身症は、全身のあらゆる部位に症状が出現する可能性があります。代表的なのは下記のような症状です。

  • 十二指腸潰瘍
  • 神経性胃炎
  • 過敏性腸症候群(下痢や便秘、腹痛や腹部の違和感が続く病気)
  • 生理不順
  • 高血圧
  • 気管支炎
  • 喘息
  • じんましん
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腰痛


身体症状に対する薬物療法と、ストレスへの対処法を学ぶ心理療法を組み合わせるのが一般的です。
心身の緊張を解きほぐすトレーニングを行ったり、ストレスを生み出す考え方のパターンを見直したりといった方法があります。

強迫性障害


不合理だとわかっていても、特定の考えが頭から離れず、それを打ち消すための行動を繰り返してしまう疾患です。
何度も手を洗う、物の配置に異様にこだわってしまうなど、日常生活に大きな支障をきたします。


代表的な強迫観念と強迫行為

  • 不潔恐怖と洗浄
  • 加害恐怖
  • 確認行為
  • 儀式行為
  • 数字へのこだわり
  • 物の配置、対称性などへのこだわり


選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)により、強迫症状を軽減します。
薬物療法で症状が落ち着いてきたら、認知行動療法を開始します。たとえば、あえて強迫観念を引き起こす状況に身を置き、強迫行為をしないで我慢する練習をするなどです。

社会不安障害


人前で話す、注目を浴びるなど特定の社交場面で強い不安や恐怖を感じる疾患です。赤面、手の震え、声の震え、発汗などの身体症状も伴うため、仕事でのプレゼンテーション、会食、電話応対などが困難になり、社会生活に支障をきたします。単なる内気や人見知りとは異なり、治療が必要な疾患です。

  • 強い恐怖
  • 不安を感じる
  • 手の震え
  • 赤面
  • 発汗
  • 動悸
  • 呼吸困難など


抗不安薬で急性期の不安を軽減し、SSRIで長期的な症状の改善を図ります。薬物療法により不安が和らいできたら、段階的に苦手な場面に挑戦していくのが一般的です。
認知行動療法やグループ療法では、「みんなが自分を見ている」「失敗したら最悪だ」といった極端な考え方を変化させて、実際に人前で話す練習を重ねていきます。

精神科訪問看護でできること

  • 体温・血圧・脈拍等の測定

    訪問時には必ず体温、血圧、脈拍、酸素飽和度の測定を行います。精神疾患をお持ちの方は、体調の変化に気づきにくいことがあるため、客観的なデータで健康状態を把握することが重要です。

  • 精神症状の観察

    ご本人の表情、話し方、身だしなみなどから、精神状態を専門的に評価いたします。言葉にできない不調のサインを見逃さず、症状の変化をいち早くキャッチします。

  • 日常生活観察と支援

    規則正しい生活リズムは、精神の安定に直結します。睡眠、食事、活動のバランスを一緒に見直し、無理のない範囲で改善をサポートいたします。

  • 服薬の確認と助言

    処方された薬を正しく服用できているか確認し、飲み忘れを防ぐ工夫を一緒に考えます。副作用で困っている、薬を飲みたくないという気持ちも否定せずに受け止めます。

  • 対人関係の相談

    人との関わりに不安を感じる方は、まず看護師との会話から始めてみましょう。安心できる関係の中で、コミュニケーションの練習ができます。職場での人間関係、家族との距離感など、具体的な悩みについても一緒に解決策を探ります。

  • 家族の悩みや不安の解消

    精神疾患は、ご家族にとっても大きな負担となります。どう接したらよいか分からない、将来が不安、介護疲れを感じるなど、ご家族の率直な思いを伺います。病気の特性を説明し、適切な対応方法をアドバイスいたします。

  • 社会資源・福祉サービス
    活用の調整

    障害年金、自立支援医療、障害福祉サービスなど、利用可能な制度は多岐にわたります。それぞれの制度の特徴や申請方法を説明し、必要な手続きをサポートいたします。

  • 関係機関との調整

    ご利用者さまを支える医療・福祉・行政の各機関と密接に連携します。主治医への状況報告、ケアマネジャーとの情報共有、デイケアスタッフとの支援方針の統一など、チーム全体で一貫したケアを提供できるよう調整いたします。

精神科訪問看護を利用できるのはどんな人?

精神科医の訪問看護指示書があれば、年齢や疾患を問わず利用可能です。
統合失調症、うつ病、双極性障害などの精神疾患だけでなく、認知症、発達障害、高次脳機能障害の方も対象となります。

自立支援医療を受けることを認められている方

継続的な精神科治療が必要と認められた方は、自立支援医療制度により医療費の自己負担が軽減されます。
統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害、薬物依存症、認知症、てんかんなど、幅広い精神疾患が対象です。
症状が安定していても、再発予防のために通院を続ける必要がある方も含まれます。

精神科訪問看護は「やすらぎの家」をご利用ください

「訪問看護ステーションやすらぎの家」は、ご利用者さまが「自分らしく」生活できるようご自宅での看護ケアを行っております。